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​京都の四季歌

 Season’s waka in kyoto
DESIGNER : HUIYING CHEN
『京都芸術大学 大学院 芸術研究科芸術専攻 修士2年生 作品展 WEB SPURT2020』
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「京都の四季歌」は、松本章男が訳して編集した「京都百人一首」という日本の和歌をモチーフとしてビジュアル化したものです。

松本章男は、今日に伝わっていた和歌から京都の歴史的風景の原像を伝える和歌百首を掘り起こして、「京都百人一首」という書物で定着させた。先人たち詠う和歌から京都の優雅さ、季節の折りめ移りめを味わって、京都の百種姿から「春夏秋冬」の季節時間に沿って先に16首を視覚化して作り上げたのは「京都の四季歌」です。最終的には一点上下400ミリ左右200ミリぐらいのプリントアウトように100枚を制作して本にまとめる作品を考えています。

今まで「視覚詩」に対する研究を踏まれて、京都で学ぶ留学生としてに京都独特な「淡味・旬の味・隠し味」を意識において、京都がある魅力を視覚詩に作成しています。

The poster series of "Kyoto's Four Seasons" published is based on the "Kyoto Hyakunin Isshu" translated and compiled by Matsumoto as the prototype for the design of visual poetry.

From among the Waka that have been passed down to the present, Matsumoto selected 100 waka that best represent the original landscape of Kyoto and named them "Kyoto Hyakunin Isshu”.From these waka, we can feel the elegance and the change of seasons in Kyoto.The Kyoto's Four Seasons takes "Spring, summer, Autumn and winter"as its timeline, and selects 16 waka from Kyoto Hyakunin Isshu for visual design. And the final work will be composed of 100 posters that are 400mm high and 200mm wide.

This work is about my research on "visual poetry" during my postgraduate period.As an international students studying in Kyoto, I create a series of visual poems about Kyoto's unique charm of "sence of slightness, sence of changing and sence of hiding".

和歌と釈文の出典:松本章男『京都百人一首』

Spring

逢坂の
 
関をや
 
越えつらむ
 
音羽の山の
 
けさは霞める
橘俊網
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Summer

遙か遠くを見まわすと、比良の高い峰から雪が消えている。なるほど京都の野はすでに若菜を摘んでよい時季になっているのだなァ。

 

(麗景殿女御歌合、続後撰和歌集)

平兼盛
野はなりにけり
雪きえて
若菜つむべく
見わたせば
比良のたかねに

春も東から近づいて、逢坂の関をこちらへ越えたばかりであろうか。音羽山が今朝は霞んで見えるのであるから。

 

   (後拾遺和歌集新撰朗詠集)

橘俊網
けさは霞める
越えつらむ
 
音羽の山の
逢坂の
 
関をや

春の花どきは白川の目当ての花を見ないと心が落ち着きません。ところが、さて行ってみると、そこが目当てではない視線のやりどころにおいてさえも、花に足止めされてしまうのです。白川の里というところは。

 

(御室五十首)

藤原有家
白川の里
眺めまで 花にせかるる
春のうちは そことかぎらぬ 

道のほとりの賀茂の川原に立つしだれ柳が、すでに芽吹いて、形の良い姿をみせている。道のゆきかえりに誰かが、長い柳の糸をおそらく垂れ慣らしているのであろう。

 

(宝治百首)

藤原為家
春雨ぞふる
柳かげ 緑もふかく
広沢の 池のつつみの 
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Autumn

瓜を植えた狛野源原の菜園が、みるみる緑の繁みになってゆく。いま夏の、まさしく草しがいきおいよく成育する時季にさしかかっているのだなア。

 

(好忠集)

曾根好忠
繁くなりゆく
夏にもあるかな
御園生の 
瓜植えし 狛野のはらの 

篝火の光を写し取っている大井川よ、每夜こういう光景を見せてくれ。うがい舟をくださない夜はあってほしくない。

 

(為忠家初度百首)

寂念
夜半はあらじな
大井川
うぶねくださぬ
かがり火の かげをうつして 

松が崎では、京都の市街へ出る手土産のひとつに、氷室から切り出した氷を草に包みます。夏のあいだ、山家の人たちが。

 

(草根集)

正徹
氷をつつむ 夏の山びと    
草つとに 
松が崎 これも都の 

葉室の竹林では若竹が育って青あおとした葉を茂らせていることだろう。近々かならず、梅津から真直ぐ舟をむけて、初夏のあの里を訪ねることにしよう。

 

(千々廼屋集)

千種有功
夏をとはばや
若竹の 葉室の里の
梅津より 舟さしよせて
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わたしの住まいだというしるしのつもりだけで植えた「萩」が、花をつけてくれた。いま、こうして庭の萩の花を見ていると、遠い空の彼方に嵯峨野の秋が思い出されてくること。

 

(嘉言集)

大江嘉言
空に嵯峨野の 秋を知るかな
萩を植えて
我が宿の ためしばかりの 
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Winter

瓜生山で鹿が鳴いている。木々がすでに紅葉しているから、牧鹿の妻をもとある声が、よりいっそう、切々と哀れに聞こえてくることだなァ。

(元真集)

藤原元真
聞こえ来るかな
鳴く鹿の 声は深くも
瓜生山 紅葉の中に 

深泥池という名をきくので、濁水をたたえた池があるのかと思ったが、池があるのか無いのか形さえみえない。ところが、名に反して水の澄んだ池が現実にやはりあるらしく、水鳥まで生息しているから不思議だった。

 

(和泉式部続集)

和泉式部
あるぞあやしき
深泥池に すむ水鳥の 
名をきけば 影だにみえじ 

捕まえて柵につなぎなさい、美豆の草原へ放ってある馬たちを。秋のいま、淀の川霧は晴れることがない。霧に迷ってどこかへ行ってしまう馬が出るかもしれないから。

 

(長能集金葉和歌集三奏本)

藤原長能
よどのかはぎり 秋はたえせじ
美豆の野原の 放れ駒よ 
とりつなげ 
 
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小塩山から吹きつける松風がたいへん冷たい。大原の冴野の沼はおそらく氷が張リつめているのではないだろうか。

 

(中務集 続古今和歌集)

中務
さえまさるらん
大原や
 
さえ野の沼や 
おしほ山 松風さむし 

比叡山のたたずまいが冬枯れの気色でさびしいが、こうして、白鷺が梢に巣をかけて群れている森を前景として眺めると、なおいっそう淋しく見えるのだなァ。

 

(拾玉集)

慈円
雪の色なる 鷺の森より
色こそいとど さびしけれ 
比叡の山は 

柴を積んで宇治川をくだってきた舟が、岸へ寄せあぐねてしまっている。舟を着けようと舟夫が懸命に棹をふるっているが、そのうち、棹の雫まで凍りついてしまうだろう。

 

(式子内親王集)

正徹
さをの雫も かつ氷りつつ
よせわびぬ
真柴つむ 宇治の川舟
Summer
Spring
Autumn
Winte
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今回の作品に対して、もし皆の感想や、アドバイスなどを頂ければ大感謝です。

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火焚きの神事に詣でる多くの人びとが愛宕山へ登る。山上の樒が原に雪が降っているとき、人びとはきっと、雪をも花に見たてて、神花の樒を雪がついたまま摘み供えるのであろうなァ。

 

(正治初度百首)

源師光
そへて摘むかな
雪ふれば 花に花をも 
愛宕山
しきみが原に 
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